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重要で適切な提言!『「危険ドラッグ吸引運転」が「酒気帯び」と同じとは 無念の被害者 道交法改正を急ぐべきだ』


重要で適切な提言!『「危険ドラッグ吸引運転」が「酒気帯び」と同じとは 無念の被害者 道交法改正を急ぐべきだ』

  • 記事内容はとても重要で適切なものだ。
  • 危険ドラッグと脱法ハーブから名前を変更したのはよいが、肝心な立法、議員の本来役割が動いていないのは残念。
  • 地方自治体より国会が何歩も遅れている。手当てはタップリ貰っていて怠けられては困るね。



http://www.sankei.com/premium/news/150110/prm1501100006-n1.html

2015.1.10 12:00更新
【日本の議論】

「危険ドラッグ吸引運転」が「酒気帯び」と同じとは 無念の被害者 道交法改正を急ぐべきだ

JR池袋駅西口の歩道に突っ込み歩行者を次々とはねた車を調べる捜査員=平成26年6月24日夜、東京・池袋(宮川浩和撮影)

 幻覚や幻聴など覚醒剤と同様の作用を持つ「危険ドラッグ」を使用して車を運転し、人をはねる事故が昨年相次ぎ、捜査当局が摘発を強化している。千葉県と栃木県の公安委員会は昨年12月、危険ドラッグを吸って自転車に乗ったり、大量に所持したりして摘発された男性らに対し、異例の自動車運転免許停止処分をそれぞれ決定。一方、東京地検では昨年5月に施行された自動車運転処罰法を駆使するも、刑罰が重い規定の適用はハードルが高いのが実情だ。流通規制だけでなく、交通事故対策でも法整備を進める必要がありそうだ。

自転車に乗っただけでも運転免許停止

 千葉県公安委が免停処分にした男性は、東京地検が昨年10月に危険ドラッグを吸って自転車を運転したとして、道路交通法違反(過労運転など)罪で略式起訴していた。全国初の摘発例で、同地検は当時、こう説明していた。

 「運転中に風邪薬で眠くなった場合も違反になり得るが、実際には『気を付けてね』という注意レベル。しかし、危険ドラッグの危険性が広く認識された今、それを吸ってまがりなりにも車両である自転車を運転したことを重くみた」

 東京都福祉保健局によると、危険ドラッグは「合法ドラッグ」「脱法ハーブ」などと称して販売され、麻薬や覚醒剤と構造が少しだけ違う化学物質が含まれる。同局は「麻薬や覚醒剤と変わらないどころか、より危険な成分が含まれていることもある」とする。吸引すると快感を感じるが、意識喪失や幻覚、幻聴などの症状も現れるという。



 東京・池袋の池袋駅前で昨年6月、危険ドラッグを吸った男の乗用車が歩道を暴走し、男女7人が死傷。この事故を契機に厚生労働省は法規制に乗り出し、警視庁も取り締まりを強化、「危険ドラッグ」の呼称も生まれた。

 ただ、道交法には危険ドラッグに特化した規定はない。アルコールや薬物を服用して車両を運転した場合、(1)酒気帯び運転や過労運転などは懲役3年以下または罰金50万円以下、(2)酒酔い運転や麻薬、覚醒剤使用中の運転は懲役5年以下または罰金100万円以下-と規定している。

 現状では、危険ドラッグは(1)に当てはめざるを得ないという。検察幹部は「大麻の10倍以上の効き目がある薬物を吸っていたのに、軽い刑罰規定を適用せざるを得ない。対応する法律がないのが原因」と話した。

ハードル乗り越えるため執念の捜査

 運転中に意識を失うなどして発生した重大事故に対しては、厳罰化の流れにある。平成24年に京都府亀岡市で睡眠不足の少年が乗用車を無免許で運転し、児童ら10人が死傷する事故があり、遺族が厳罰化を要望するなどして法改正の気運が高まった。

 こうした中で施行された自動車運転処罰法では、「運転が困難な状態の認識」を要件としたため適用が難しかった従来の危険運転罪(2条)に加え、一歩手前の「運転に支障が生じるおそれがある状態の認識」で適用できる新しい危険運転罪(3条)が設定された。

 池袋の暴走事故では、事故発生時点で運転手が意識を失っており、運転が困難な状態を認識できたことを立証できず、3条を適用したという。



 しかし、3条は刑の上限が低く設定されている。例えば人を死亡させた場合、2条が1年以上の有期懲役(最高20年)なのに対し、3条は懲役15年以下だ。

 そのため、捜査当局は適切な刑罰を実現するため、時に執念の捜査を見せる。

 昨年11月、東京都内で睡眠薬を大量に飲んだ男が車を運転し、赤信号の交差点を進み、横断歩道を渡っていた小6児童をはね、意識不明の重体となった。男は「自分の状態が分からなかった」と供述。自動車運転処罰法2条を適用するためには、男が運転困難な状態だったのを認識していたことを客観的に立証することが求められた。

 警視庁の捜査員はまず、車の走行経路を調べ、同じ道を同じ時間帯に通過したトラックやタクシーのドライブレコーダー(カメラ映像)を徹底的に集めた。すると男が事故現場の1キロ手前で別の追突事故を起こしていたことが判明した。

 だが、相手方の車のナンバー画像が不鮮明だった。そこで近くに設置された防犯カメラに映った通過車両のナンバーを片っ端から照会し、車の所有者に直接問い合わせた。ようやく追突された車の運転手を突き止め、「当時、男が『追突事故を起こした』と認めた」との証言を得たのだった。



 これにより、男が自ら運転困難な状態だったのを認識していたことが立証でき、東京地検は2条を適用して男を起訴した。交通捜査に詳しい検察幹部は言う。「誰もができる簡単な捜査ではない。法改正で3条が新設されても2条適用のハードルは高いままで、現状の捜査態勢では十分に捜査が尽くせない」と話す。

飲酒や過労運転と同列でいいのか

 やはり、危険ドラッグ吸引による交通事故の処罰には、社会情勢に応じた法改正が必要だといえる。自動車運転処罰法2条では「アルコール又は薬物の影響により」事故を起こした場合などと規定。また、道交法には危険ドラッグについての規定はなく、過労運転と同列に扱う。

 交通事故に詳しい加茂隆康弁護士(65)は「服用自体が違法な覚醒剤や危険ドラッグと、睡眠薬やアルコールをひとくくりにするのは無理がある」と指摘する。「覚醒剤や危険ドラッグなどは服用して運転すれば、即罰則という構成にした方がいい」と話す。

 また、危険性が社会に広く認知されていることを前提に、吸引して運転した時点で運転困難状態であることを認識していると推認するのも一つの手段だという。加茂弁護士は「裁判所が認めなければ、後で起訴内容を変更すればいい。まずは検察側が問題提起として踏み込んでみてはどうか」と話した。

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